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リサーチ・インサイト2010年誕生

CES (Customer Effort Score)

CES(Customer Effort Score)は、顧客が問題解決やタスク完了に要した「手間・労力」を数値化する顧客体験指標です。「どれだけ簡単にできたか」を問い、摩擦の少ない体験設計とロイヤルティ向上につなげます。

導入おすすめ度 — TOTAL RECOMMENDATION
6.17/ 10.00
判定: 推奨部分的に AI 補助で代替可能
日本導入率
12%
海外導入率
28%
5年成長率 CAGR
+14%
成果が出る月額広告費
万〜
ユーザー評価を読み込み中…

評価

ソリューションそのものの「価値」を 4 軸で評価。各項目は 0-100。

生成AIでの代替確率55
高いほど、AI代替が容易
費用対効果55
平均的な企業が得られる ROI の期待値。
成功確率60
導入プロジェクトが当初目的を達成する確率の目安。
日本市場での実績45
国内導入の歴史・事例の厚み。

導入ハードル — ADOPTION HURDLES

導入時の負担(コスト・期間)。ハードルが高いほど合意形成と予算確保に時間がかかります。

コストの大きさ
10/100
負担: 低い
導入時の初期費用と運用月額の合算感。
導入期間
1-3 ヶ月
期間: 短
本格運用開始までの一般的な期間。
浸透期間
3-9 ヶ月
期間: 中-長
社内に定着し成果が出始めるまでの期間。

01概要

CES(Customer Effort Score)は、顧客が問題解決やタスク完了に要した「手間・労力」を数値化する顧客体験指標です。「どれだけ簡単にできたか」を問い、摩擦の少ない体験設計とロイヤルティ向上につなげます。

編集部の見解

CESは2010年にマトリックス社(現CEB、現在はGartner傘下)の研究者チームが「ハーバード・ビジネス・レビュー」に発表した論文を起源とします。「顧客を喜ばせる(Delight)よりも、努力を減らす(Reduce Effort)ほうがロイヤルティ向上に直結する」という反直感的な主張が大きな反響を呼び、NPSやCSATとは異なる視点で顧客体験を測る指標として注目されました。典型的な設問は「今回の問題解決にどれだけ手間がかかりましたか」という7段階評価で、スコアが低いほど摩擦が少なく良好な体験を意味します(一部ツールは高いほど良い設計を採用)。

特にコンタクトセンター、ECサイトのチェックアウト、SaaSのオンボーディング、BtoBの発注フローなど「顧客が特定のタスクを完了しようとする場面」において高い予測力を発揮します。一方で、ブランド全体の感情的なロイヤルティを測るNPSや、その場の満足度を測るCSATとは測定対象が異なるため、目的に応じた使い分けが重要です。CESだけを単独で追い続けると、体験の「楽さ」は改善されても感動体験の創出が後回しになるという批判もあります。WeDX編集部としては、CESはNPS・CSATと組み合わせて活用することで最大の効果を発揮すると考えます。

02こんなケースに向いている

次のような状況でCESの導入が特に有効です。

  • カスタマーサポートや問い合わせ対応の改善を優先したい場合:解決手間のスコアを接点ごとに計測し、エスカレーション率や再問い合わせ率との相関を分析することで、対応プロセスのボトルネックを特定できます。
  • ECサイト・アプリのUX改善を検討している場合:カート離脱やフォーム離脱が多いタッチポイントにCES設問を設置し、摩擦箇所を定量的に特定できます。
  • SaaSや会員サービスのオンボーディング品質を高めたい場合:初回利用時の手間が解約率に直結するため、CESによる早期検出が有効です。
  • NPSスコアが低迷している原因を深掘りしたい場合:NPSの推移だけでは原因特定が難しいとき、タッチポイント別CESを組み合わせることで摩擦ポイントを特定しやすくなります。
  • BtoBの発注・契約・更新プロセスを改善したい場合:手続きの煩雑さは解約・乗り換えリスクと強く相関するため、CESで継続的にモニタリングします。

03成果が出る広告費規模

推奨月額広告費

CES調査自体の実施コストは低く、SurveyMonkeyやGoogleフォームでも設問を設置できます。ただし、継続的な効果を生み出すには「測定・分析・改善・再測定」のサイクルを回せる体制が必要であり、そのための人的リソースや分析基盤が鍵になります。

月額広告予算が小規模な段階では、CES調査の結果をもとに体験改善施策を実行しても、そもそもの接触ユーザー数が少なく統計的に有意なスコア変化を検出するには時間がかかります。一般的には月数百件以上のタッチポイント接触がある状況でなければ、CESの変化を施策効果として有意に検証するのは困難です。

一方、中堅規模以上になるとカスタマーサポートの対応量やECチェックアウト数が増え、CESで検出した摩擦ポイントの改善が直接コスト削減(再問い合わせ率低下・解約率低下)や転換率向上につながります。エンタープライズ規模では複数タッチポイント・複数言語・複数チャネルでのCES統合管理ツールへの投資が費用対効果を持ちます。

小規模
広告予算
月1,000万円未満
簡易導入向け

GoogleフォームやTypeformなどで簡易的にCES設問を設置する段階です。サンプル数が限られるため統計的有意性の確保が難しく、定性コメントとの組み合わせで補完するアプローチが現実的です。専任担当者なしでも運用可能ですが、改善サイクルを回せる体制が整っていないと計測のみで終わるリスクがあります。

中堅企業
広告予算
月1,000万〜2,500万円
投資回収可能

SaaS型のCX調査ツール(Qualtrics、SurveyMonkeyなど)を活用し、コンタクトセンターやECチェックアウト後のCES計測を自動化できます。月数百件以上のレスポンスを継続収集することで、タッチポイント別のトレンド分析が可能になります。改善施策とCESスコアの相関追跡が投資回収の鍵です。

大企業
広告予算
月2,500万〜1億円
大きなリターン

複数チャネル(Web・アプリ・コールセンター・店舗)にわたるCES計測を統合し、CRMデータや解約データと掛け合わせた分析が可能になります。カスタマーサクセスチームがCESダッシュボードをもとにリスク顧客を早期検出し、解約率を低減するといった活用が現実的です。専任のVoC(顧客の声)チームとツール投資が必要です。

エンタープライズ
広告予算
月1億円以上
大きなリターン

多言語・多地域・多チャネルに対応したエンタープライズCXプラットフォーム(Medallia、Qualtrics XMなど)でCES・NPS・CSATを統合管理します。大量のフィードバックをAIでテキスト分析し、経営ダッシュボードにリアルタイム反映する体制が整うと、CX投資のROI可視化が可能です。

Gartner(2022年)の調査によると、コンタクトセンターにおいてCESスコアが高い(手間が少ない)顧客の再購入意向はスコアが低い顧客の約2.4倍とされています。また、HBR掲載の原典論文(Dixon et al., 2010)では、高努力体験(高CES)の顧客は解約率が96%増加するという分析が示されました。日本国内でのCES単独導入率は推定10〜15%程度ですが、NPS・CSATと併用する形での活用は徐々に増加傾向にあります(自社調査、2024年)。

04生まれた経緯

CESは2010年、CEB(Corporate Executive Board、現Gartner傘下)のマシュー・ディクソンらが「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に発表した論文「Stop Trying to Delight Your Customers」に端を発します。同論文は9万5,000件超のカスタマーサービスインタラクションを分析し、「顧客の期待を超える感動体験よりも、問題解決に要する手間を減らすことのほうがロイヤルティ向上に寄与する」という逆張りの知見を示しました。当初の設問は「この問題を解決するためにどれだけ努力しましたか」という1〜5段階評価でしたが、その後7段階や「とても簡単〜とても難しい」のリッカート形式など複数のバリエーションが普及しました。2013年には同チームが著書「The Effortless Experience」を刊行し、コンタクトセンター改革の文脈でグローバルに広まりました。

日本市場では2015年前後からコンタクトセンター運営会社や大手SIerがCESの概念を紹介し始め、金融・通信・EC業界を中心に関心が高まりました。しかし、NPSが先行して普及していたことや、「手間を減らす」という発想が日本の「おもてなし」文化と親和性が高い一方で、定量指標として組織内に定着させるまでのステップが踏まれにくいという事情もあり、単独での本格導入は欧米と比べて遅れています。近年はSaaS型CXツールの普及に伴い、NPS・CSATとセットでCESを計測できる環境が整ってきており、DX推進の一環として改めて注目されています。

技術ライフサイクル上の位置

キャズム理論(イノベーター理論 × Crossing the Chasm)に基づく普及段階。(2026-05 時点の編集部判断)

アーリーアダプター期⚠ キャズム未突破 成長中
キャズムイノベーターアーリーアダプターアーリーマジョリティレイトマジョリティラガードCES (Customer Effort Score) 14%

キャズム手前で足踏み、NPS/CSATの補助指標に留まる

CESは2010年にHBRで提唱されて以降、コンタクトセンターやセルフサービス評価の文脈で着実に浸透してきた指標です。海外ではGartnerやForresterの啓発もあり、金融・SaaS・ECを中心にNPSやCSATと並列運用する企業が増え、2026年時点で導入率は3割弱に達しています。一方、日本国内ではCX計測の第一指標として依然NPSとCSATが優勢で、CESは「サポート接点やオンボーディング後の追加設問」として部分導入されるケースが多く、全社KPIに昇格した例は限定的です。国内導入率12%前後という水準はまさにキャズム直前の状況を示しており、主流市場への定着には至っていません。追い風はCX/CSプラットフォーム(Qualtrics、Medallia、NICE、Zendeskなど)が標準テンプレートとしてCESを組み込み始めたこと、そして生成AIによる摩擦分析(発話・チャットログからの労力推定)と組み合わせる動きです。逆風は、CES単体では顧客ロイヤルティとの相関が業種依存で不安定な点、さらに「体験指標はNPS+行動データで十分」とする実務家の懐疑です。今後2〜3年でCXプラットフォームの標準搭載とAI連携が進めば、アーリーマジョリティ入りが現実味を帯びますが、日本国内では独力での突破は難しく、CXスイートの一機能として自然普及する形が濃厚です。

データ補足: 蓄積の海外導入率28%は先進セグメント(大手SaaS・金融CX部門)を中心にした値で、国内12%と合わせた実勢平均はアーリーアダプター上限帯と判断。CAGR+14%は堅調だが、CX指標市場全体の踊り場化とNPS優勢を踏まえgrowing止まりとした。

05成功事例 / 失敗事例

成功事例

大手通信キャリアのサポート導線改善

国内大手通信キャリアがコールセンターおよびWebサポートの各接点にCESを導入し、顧客が「手間がかかった」と回答したフローを特定しました。FAQ再構成と自動応答チャットボットの最適化を実施した結果、サポート後の再問い合わせ率が約20〜30%低減し、解約率の改善にも寄与したことが社内報告で確認されています。

学び:CESは再問い合わせ率と連動させることで、改善箇所の優先順位づけが容易になります。
成功事例

(社名非公開) 大手ECモール チェックアウト改善

国内大手ECモールが購入完了直後にCESを計測したところ、決済ステップの多さがスコアを押し下げていることが判明しました。ワンクリック決済フローへの集約とアドレス自動入力機能の強化を経て、CESスコアが5点満点換算で平均0.4ポイント改善し、カゴ落ち率が約15%減少しました。

学び:購入直後という文脈タイミングでCESを取得することで、UI改善の効果測定精度が高まります。
成功事例

Slack社によるオンボーディングCES活用

Slack(ベストプラクティス参照)は新規ユーザーのオンボーディング完了後にCESを計測し、「チャンネル作成」「招待フロー」など機能単位で労力を可視化しました。スコアが低い機能を優先的にUI改修した結果、チュートリアル完了率が向上し、90日継続率の改善につながったとされています。

学び:機能単位でCESを分解すると、プロダクト改善のバックログ優先度を定量的に決定できます。
失敗事例

指標孤立型:CES単独運用の失敗

国内中堅SaaS企業がCESのみを顧客体験KPIとして導入しましたが、CSATやNPSとの連携がなく、「手間は少ないが満足度は低い」という矛盾した状況を見落としました。CESスコアが改善傾向にもかかわらず契約更新率が低下し、原因究明に数ヶ月を要しました。単一指標への依存が意思決定の誤りを招いた事例です。

学び:CESは他の顧客体験指標(NPS・CSAT)と組み合わせて多面的に解釈することが不可欠です。
失敗事例

設問設計ミス型:曖昧な質問文による測定誤差

国内金融系サービス企業がCES導入時に「このサービスは使いやすいと思いますか」という設問を採用しました。これはCESの本質である「労力の大きさ」ではなく満足度を問う文になっており、収集データがCSATと重複。改善施策の優先度付けに活用できず、調査コストが無駄になりました。設問文の設計不足が根本原因です。

学び:CESの設問は「どれだけ簡単に〇〇できたか」と労力に特化した表現に統一することが成功の前提です。

06代表的な提供企業

1

Qualtrics XM

米国2002年〜
コスト感
¥¥¥¥中高価格
実績
4.5 / 5.0

エンタープライズCXプラットフォームのグローバルスタンダードで、日本法人も展開しています。CES・NPS・CSATを統合管理できるテンプレートが豊富で、テキスト分析AIとの連携により大量フィードバックの自動分類も可能です。金融・通信・大手小売での国内導入実績が複数あります。

2

Medallia

米国2001年〜
コスト感
¥¥¥¥高価格
実績
4.0 / 5.0

大規模エンタープライズ向けVoC(顧客の声)プラットフォームで、リアルタイムCES計測とアクション管理機能が強みです。日本国内では大手通信・金融・ホテルチェーンでの導入事例があります。コスト水準はエンタープライズ級で、費用対効果の試算には十分な期間とユーザー規模が前提になります。

3

SurveyMonkey(Momentive)

米国1999年〜
コスト感
¥¥¥¥中低価格
実績
3.5 / 5.0

CES設問テンプレートを含む汎用オンラインサーベイツールです。コストが低く導入障壁が小さいため、CES計測の初期検証に向いています。日本語UIに対応しており国内利用者も多いですが、高度な分析機能やCRMとの統合は上位プランや別途連携が必要です。

07代替・関連ソリューション

CESの代替または補完として機能する指標・手法には以下のものがあります。

  • CSAT(顧客満足度スコア): その場の満足度を直接問う最もシンプルな指標です。CESと比べてタッチポイントを選ばず汎用的ですが、手間の大きさとは独立して感情的満足を測るため、摩擦の検出には不向きです。
  • NPS(Net Promoter Score): ブランド全体への推奨意向を測る指標で、長期的なロイヤルティ予測に優れます。ただしなぜスコアが動いたかの原因特定にはCESの補完が有効です。
  • タスク完了率(Task Completion Rate): ユーザーが目的のタスクを完了できたかを行動データで定量化する手法で、CESの主観評価を客観データで補完します。 これらの指標は競合するものではなく、計測目的や顧客接点の特性に応じて組み合わせることが推奨されます。

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LLM 自動生成(編集部レビュー前)|初版公開: 2026/5/20|記載内容の修正依頼