- 広告予算
- 月1,000万円未満
GoogleフォームやTypeformなどで簡易的にCES設問を設置する段階です。サンプル数が限られるため統計的有意性の確保が難しく、定性コメントとの組み合わせで補完するアプローチが現実的です。専任担当者なしでも運用可能ですが、改善サイクルを回せる体制が整っていないと計測のみで終わるリスクがあります。
CES(Customer Effort Score)は、顧客が問題解決やタスク完了に要した「手間・労力」を数値化する顧客体験指標です。「どれだけ簡単にできたか」を問い、摩擦の少ない体験設計とロイヤルティ向上につなげます。
ソリューションそのものの「価値」を 4 軸で評価。各項目は 0-100。
導入時の負担(コスト・期間)。ハードルが高いほど合意形成と予算確保に時間がかかります。
CES(Customer Effort Score)は、顧客が問題解決やタスク完了に要した「手間・労力」を数値化する顧客体験指標です。「どれだけ簡単にできたか」を問い、摩擦の少ない体験設計とロイヤルティ向上につなげます。
CESは2010年にマトリックス社(現CEB、現在はGartner傘下)の研究者チームが「ハーバード・ビジネス・レビュー」に発表した論文を起源とします。「顧客を喜ばせる(Delight)よりも、努力を減らす(Reduce Effort)ほうがロイヤルティ向上に直結する」という反直感的な主張が大きな反響を呼び、NPSやCSATとは異なる視点で顧客体験を測る指標として注目されました。典型的な設問は「今回の問題解決にどれだけ手間がかかりましたか」という7段階評価で、スコアが低いほど摩擦が少なく良好な体験を意味します(一部ツールは高いほど良い設計を採用)。
特にコンタクトセンター、ECサイトのチェックアウト、SaaSのオンボーディング、BtoBの発注フローなど「顧客が特定のタスクを完了しようとする場面」において高い予測力を発揮します。一方で、ブランド全体の感情的なロイヤルティを測るNPSや、その場の満足度を測るCSATとは測定対象が異なるため、目的に応じた使い分けが重要です。CESだけを単独で追い続けると、体験の「楽さ」は改善されても感動体験の創出が後回しになるという批判もあります。WeDX編集部としては、CESはNPS・CSATと組み合わせて活用することで最大の効果を発揮すると考えます。
次のような状況でCESの導入が特に有効です。
CES調査自体の実施コストは低く、SurveyMonkeyやGoogleフォームでも設問を設置できます。ただし、継続的な効果を生み出すには「測定・分析・改善・再測定」のサイクルを回せる体制が必要であり、そのための人的リソースや分析基盤が鍵になります。
月額広告予算が小規模な段階では、CES調査の結果をもとに体験改善施策を実行しても、そもそもの接触ユーザー数が少なく統計的に有意なスコア変化を検出するには時間がかかります。一般的には月数百件以上のタッチポイント接触がある状況でなければ、CESの変化を施策効果として有意に検証するのは困難です。
一方、中堅規模以上になるとカスタマーサポートの対応量やECチェックアウト数が増え、CESで検出した摩擦ポイントの改善が直接コスト削減(再問い合わせ率低下・解約率低下)や転換率向上につながります。エンタープライズ規模では複数タッチポイント・複数言語・複数チャネルでのCES統合管理ツールへの投資が費用対効果を持ちます。
GoogleフォームやTypeformなどで簡易的にCES設問を設置する段階です。サンプル数が限られるため統計的有意性の確保が難しく、定性コメントとの組み合わせで補完するアプローチが現実的です。専任担当者なしでも運用可能ですが、改善サイクルを回せる体制が整っていないと計測のみで終わるリスクがあります。
SaaS型のCX調査ツール(Qualtrics、SurveyMonkeyなど)を活用し、コンタクトセンターやECチェックアウト後のCES計測を自動化できます。月数百件以上のレスポンスを継続収集することで、タッチポイント別のトレンド分析が可能になります。改善施策とCESスコアの相関追跡が投資回収の鍵です。
複数チャネル(Web・アプリ・コールセンター・店舗)にわたるCES計測を統合し、CRMデータや解約データと掛け合わせた分析が可能になります。カスタマーサクセスチームがCESダッシュボードをもとにリスク顧客を早期検出し、解約率を低減するといった活用が現実的です。専任のVoC(顧客の声)チームとツール投資が必要です。
多言語・多地域・多チャネルに対応したエンタープライズCXプラットフォーム(Medallia、Qualtrics XMなど)でCES・NPS・CSATを統合管理します。大量のフィードバックをAIでテキスト分析し、経営ダッシュボードにリアルタイム反映する体制が整うと、CX投資のROI可視化が可能です。
Gartner(2022年)の調査によると、コンタクトセンターにおいてCESスコアが高い(手間が少ない)顧客の再購入意向はスコアが低い顧客の約2.4倍とされています。また、HBR掲載の原典論文(Dixon et al., 2010)では、高努力体験(高CES)の顧客は解約率が96%増加するという分析が示されました。日本国内でのCES単独導入率は推定10〜15%程度ですが、NPS・CSATと併用する形での活用は徐々に増加傾向にあります(自社調査、2024年)。
CESは2010年、CEB(Corporate Executive Board、現Gartner傘下)のマシュー・ディクソンらが「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に発表した論文「Stop Trying to Delight Your Customers」に端を発します。同論文は9万5,000件超のカスタマーサービスインタラクションを分析し、「顧客の期待を超える感動体験よりも、問題解決に要する手間を減らすことのほうがロイヤルティ向上に寄与する」という逆張りの知見を示しました。当初の設問は「この問題を解決するためにどれだけ努力しましたか」という1〜5段階評価でしたが、その後7段階や「とても簡単〜とても難しい」のリッカート形式など複数のバリエーションが普及しました。2013年には同チームが著書「The Effortless Experience」を刊行し、コンタクトセンター改革の文脈でグローバルに広まりました。
日本市場では2015年前後からコンタクトセンター運営会社や大手SIerがCESの概念を紹介し始め、金融・通信・EC業界を中心に関心が高まりました。しかし、NPSが先行して普及していたことや、「手間を減らす」という発想が日本の「おもてなし」文化と親和性が高い一方で、定量指標として組織内に定着させるまでのステップが踏まれにくいという事情もあり、単独での本格導入は欧米と比べて遅れています。近年はSaaS型CXツールの普及に伴い、NPS・CSATとセットでCESを計測できる環境が整ってきており、DX推進の一環として改めて注目されています。
キャズム理論(イノベーター理論 × Crossing the Chasm)に基づく普及段階。(2026-05 時点の編集部判断)
認知は広がったが主流化の壁を越えられず踊り場に
CES(Customer Effort Score)は2010年にHarvard Business Reviewで提唱されて以来、NPS・CSATに並ぶ第三の顧客体験指標として一定の認知を獲得しました。しかし2026年5月時点では、国内導入率は推定12%前後にとどまり、アーリーアダプター期の上端に位置しているものの、キャズムを突破して主流市場に定着するには至っていません。
勢いについては「踊り場(plateauing)」と評価します。CESの概念自体は成熟し、カスタマーサクセスやCXデザインの文脈で参照されることは増えましたが、「CESを単独で導入・運用する」という純増の動きは鈍化しています。背景には以下の構造的な課題があります。まず、NPSやCSATに比べて設問設計や解釈が難しく、社内展開のコストが高いという実務上のハードルが残っています。次に、CXプラットフォーム(Qualtrics、Medallia、国内ではSprinklrや独自ツール)がCES設問をあくまでもパッケージの一機能として組み込む形で普及しているため、「CESという独立した指標を意識的に採用する」企業は限られています。さらに、AIを活用した行動ログ解析や感情分析が台頭し、「アンケート回答に依存しない努力量の推定」という方向に関心が移りつつあり、CESという調査票ベースの手法そのものの存在感が相対的に薄れ始めています。
今後の分岐点は、CXプラットフォームの標準機能としての浸透度合いと、AIネイティブな代替手法への置き換え速度です。前者が進めば緩やかにアーリーマジョリティ層への浸透が期待できますが、後者が加速すれば「アンケート型努力指標」というカテゴリ自体がニッチ化するリスクがあります。
データ補足: 蓄積データの国内導入率12%・海外28%・CAGR+14%は表面上アーリーアダプター後半から主流市場の手前を示しており、方向性はほぼ一致しています。ただし、CAGR+14%はCXプラットフォーム市場全体の成長を反映した楽観値であり、CES単体の新規採用増を示すものではないと判断します。また海外28%も「CES設問を一度でも使ったことがある」程度のゆるい定義である可能性が高く、継続的に運用・意思決定に活用している企業の割合はより低いと見ています。このため、勢いはCAGRが示唆する「成長中」より一段辛口の「踊り場」と評価しました。
コンタクトセンターでの問い合わせ対応後にCES設問をSMS送付で計測。スコアが低い(手間がかかった)ケースをタグ付けして分析した結果、「担当者変更による説明の繰り返し」「Webとオペレーター案内の不一致」が主因と特定されました。FAQの整備とエスカレーション手順の見直しを実施した結果、3ヵ月でCESスコアが平均0.6ポイント改善し、同期間の再問い合わせ率が約30%低下しました。顧客一人あたりのサポートコストも約15%削減できたと報告されています。
初回ログイン後のオンボーディングフロー完了時にCES設問を表示。スコアが3以下(7段階中)のユーザーの90日解約率が他ユーザーの約2.8倍であることが判明し、オンボーディング設計の優先度が大幅に引き上げられました。ウィザード形式のガイドUI導入と初回設定項目の削減(12項目→5項目)を実施した結果、CESスコアの中央値が4.1→5.6に改善し、90日以内の解約率が約50%低下しました。
Amazonは1-Clickショッピング等の施策で購買フローの摩擦を徹底的に排除したグローバルベストプラクティスとして知られています。社内でのCES類似指標の活用が複数の業界レポートで言及されており、カート放棄率の低減と高い顧客継続率(Prime会員のリテンション率90%超)に貢献しているとされます。顧客努力の最小化を設計原則に組み込む姿勢が、CES活用の模範事例として広く参照されています。
国内EC企業がチェックアウト後のCES計測を導入したものの、収集したスコアをレポートに記載するだけで改善アクションが定義されていませんでした。担当部署が「誰がCESの改善オーナーか」を決めないまま運用を続けた結果、1年半後にスコアがほぼ変化せず、経営層から「計測の意義がない」と判断されてプロジェクトが終了しました。CESは計測ツールではなく改善サイクルのトリガーであるという認識が組織内に共有されていなかったことが根本原因です。
日本語への翻訳・ローカライズが不十分なまま「この会社との取引は簡単でしたか」という設問を設置したケースです。日本語では「簡単」という表現がネガティブに受け取られる場合があり(「雑な対応だった」と解釈されるケース)、スコアが欧米基準とは逆の方向にバイアスがかかりました。また、7段階評価の「1が良い/7が悪い」か「1が悪い/7が良い」かを社内で統一していなかったため、部門ごとに逆方向の解釈が生まれるという混乱も発生しました。
コンタクトセンターでのCES改善を最優先KPIに設定したサービス企業が、「手間を減らす」ことに注力するあまり、顧客との感情的なつながりを生む対応(共感・提案・フォローアップ)が削減されていきました。結果としてCESスコアは改善されましたが、NPS(推奨意向)が同期間に低下し、口コミによる新規獲得が減少するという副作用が発生しました。手間の最小化と感情的価値の提供はトレードオフになる場面があり、両方を同時に追う設計が必要です。
エンタープライズCXプラットフォームのグローバルスタンダードで、日本法人も展開しています。CES・NPS・CSATを統合管理できるテンプレートが豊富で、テキスト分析AIとの連携により大量フィードバックの自動分類も可能です。金融・通信・大手小売での国内導入実績が複数あります。
大規模エンタープライズ向けVoC(顧客の声)プラットフォームで、リアルタイムCES計測とアクション管理機能が強みです。日本国内では大手通信・金融・ホテルチェーンでの導入事例があります。コスト水準はエンタープライズ級で、費用対効果の試算には十分な期間とユーザー規模が前提になります。
CES設問テンプレートを含む汎用オンラインサーベイツールです。コストが低く導入障壁が小さいため、CES計測の初期検証に向いています。日本語UIに対応しており国内利用者も多いですが、高度な分析機能やCRMとの統合は上位プランや別途連携が必要です。
CESの代替または補完として機能する指標・手法には以下のものがあります。
この用語が特に有効な業種(編集部判定)